僕の銀牙が抜刀牙した話
こんにちは。子供の頃歯医者で拘束され地味なトラウマ。MAmeeともうします。
あれは、ある日家で夕飯を食べている時の事だ。
その日は仕事が長引き遅めの帰宅で、また嫁も出かけていたらしく同じ時間に我が家へと戻ってきた。
外で夕飯を済ませてきた嫁は帰り足でフライドチキンを僕の晩酌のつまみに買ってきてくれた。夜にフライドチキンは若干しんどいものがあるが、まぁ好きなのでありがたく頂くことにした。時間帯的にはあれだがハイボールのあてとしてはなかなか優秀で箸も酒も進む進む。
柔らかい鶏肉を咀嚼している時、遂に事件が起きた。
右側の奥歯で「がりっ!」っと感じた事のないほどの硬度のもの噛んだ感覚。一瞬舌をかんだと錯覚し身構えたが痛みは来なく、舌で探ってみると明らかに異物が。
真っ先に行き着いた答えは「異物混入や!!」
人生で初めて直面した出来事に色めき立ち、嫁に「ひふづほんひゅう!ひふづほんひゅう!!(異物混入!異物混入!!)」と騒ぎちらして色めき立ちながら異物の正体を確かめるべくティッシュへと吐き出す。
「これやばいんじゃない~?炎上案件じゃん~」などと無邪気にゲス思考を巡らせながらティッシュに吐き出した異物を改めると、それは「歯」のようなもので。さすがに衛生的にも倫理的にも気持ちが悪くテンションを程よく下げさせられた。
僕「嫁!歯!歯が入ってたよ!ほんとにこんなことあんのんな~」
「テイクアウト」「異物」「歯」「クレーム」で検索をかけ対処の仕方を調べていると嫁が。
嫁「ていうか銀のかぶせじゃん。歯石もついててやだね~、こわっ!」
ふーん、とながら作業で聞き流しつつハイボールを口に含むと何か違和感を感じた。なんとなく、30年近く付き合ってきた飲み物を口に含んだ時のいつもの感覚とは違う……これは、右の噛み合わせから流れが変わっている?無意識にその流れの方へ舌先を伸ばすと、いつも閉じているであろう噛み合わせにかなりの幅の隙間が空いている。
その瞬間思考は超速度で巡り、事態を把握した。
僕「わしの銀牙が抜刀牙しとる!!」
早とちりの気まずさと気恥ずかしさのあまりウェットに富んだ渾身のボケを叫んでしまった。
だが嫁は7歳年下。年代の違いから何を言っているのか全く分からないようで。
嫁「え、うるさっ……」
と、ものすごい温度差を食らってしまった。
(あっ、上から剥がれ落ちたんだから『砕・雷針抜刀牙』のほうだったかぁ……)
一人反省しながら、ボケの説明は恥ずかしいので置いておき異物の正体を嫁に説明する――――――
ここまで読んでくれて皆さんは、わかってる人にはわかってると思うが、銀牙は昔少年ジャンプで連載していた【銀牙-流れ星 銀-】の銀牙。簡単に言えば犬が熊倒す漫画。
抜刀牙は登場する犬たちが使う必殺技の名前。
説明しちゃったよ……。
銀牙=銀歯≒銀のかぶせ+抜け落ちた≒抜刀牙 つまり……
嫁「異物混入じゃなくて、夫の銀歯が取れて噛みこんでしまった。と……」
僕「うん。(でも、銀牙はタイトルで、『抜刀牙』使うのが「銀」だから『わしの銀が絶・天狼抜刀牙しとる!!』のがよかったか?)」
嫁「はよ歯医者行け。」
僕「はい……。(いや、銀『歯』を銀『牙』に見立てるのがなんかオシャレだし、それに『絶・天狼抜刀牙』はちょっと長いな……この2パターンには大きな溝があるな、そう。このかぶせが取れたこの歯のように。)」
嫁「銀牙がうんぬんはなんだったの?」
僕「昔ジャンプで~以下略」
嫁「好きな漫画だったんだー。」
僕「いや産まれる前に始まって終わったからよく知らない。」
嫁「なんやねん。」
僕「なんか必殺技の名前とかかっこいいから知ってる。かっこよくない?」
嫁「意味わからん。」
この感覚女性にはなかなか伝わりにくいようですね~。
世代よりも男女間でのギャップに大きな溝があるようです。
そう。このかぶせがとre以下略。
かぶせユーザーの方々もどうか急な「抜刀牙」にご注意を。
ガム・キャラメル・ハイチュウ・シゲキックス。粘着力のある食べ物はなるべく控えるよう心掛けてください。
…………え、何でフライドチキンで抜刀牙したん?